「武道家」と「武道愛好家」~久保田武蔵vsチャンデー・ソーパランタレー戦の分析~
世界四冠の久保田武蔵。
彼の貴重な戦っている動画を観ると、いかに久保田武蔵が「武道家」であるかがよくわかります。
試合開始後、紳士的にハイタッチを求める久保田武蔵に対し、いきなりの前蹴りを出してくるチャンデー・ソーパランタレー。
…一見、ここまでを見ると、チャンデー・ソーパランタレーのほうが「武道家」であるように思えます。
武道とスポーツは違うのです。
リングに入ればいつ攻撃されてもおかしくないし、ましてゴングは鳴らされているのです。この前蹴りは卑怯でもなんでもありません。チャンデー・ソーパランタレーが、「武道」を忠実に行った。ただそれだけのことです。
ところが、ここから世界四冠が牙を剥きます。
「その程度の前蹴りは、いつでもできるんだよ」
と言わんばかりに、前蹴りをやり返し、ダウンを奪います。
そして倒れるや否や、アキレス腱を取っています。
その勢いはすさまじいもので、まるで相手が自ら右足を差し出しているようにすら見えます。
そのまま2分1秒という速さで、久保田武蔵は勝利を収めます。
一体二人の何が違ったのか。
チャンデー・ソーパランタレーは、せっかく前蹴りでダウンを奪ったのに、久保田武蔵が起き上がるのを待っています。
久保田武蔵は、前蹴りでチャンデー・ソーパランタレーをダウンさせた後、躊躇せずにアキレス腱を取りに行っています。
倒れた相手を躊躇なく撃てるかどうかの非情さの違い。
この違いが、
「武道家」と「武道愛好家」を分けたのです。
2012年11月9日